「メイデン」に隠された時限爆弾
今日のカードで紹介された《メイデン・オブ・ウォーターポット》によって、FC2015Winterのネオネクタールの強化名称は「メイデン」であることが判明いたしました。
ネオネクタールの「メイデン」は、これまでは特に名称によるギミックこそ無かったものの、イラストに描かれるキャラクターの可愛さと、女性キャラ統一感をアピールできる点で一部プレイヤーの間でファン名称として親しまれている人気の非名称でした。
それが今回、公式で名称化が決定し、これまでファンデッキであった「メイデン」が遂にシナジーを持つようになりました。2枚程度の追加で成果を上げるのはよほどの愛と根気が無いと難しいと思いますが、これからは自信を持って「メイデン軸」を公言できるようになるため、ブシロードにグッジョブ! と親指を立てるプレイヤーも少なくないでしょう。もちろん上向きにですよ?
今回はその「メイデン」に関するお話を1つ。
以前にも今日のカードで《ローズレッドウィッチ クク》が紹介されて「ウィッチ」が名称化となった際、「魔女」と「ウィッチ」は英語版ではどちらも「Witch」なので、英語版の名称管理ガバガバじゃねーか! ということを当ブログでネタにしたことを覚えているでしょうか。リンク先記事へ飛びます→今日のカード 11/16 ローズレッドウィッチ クク
今回もその延長線上企画で、「メイデン」の名称化によって生じる、英語版における名称管理のガバガバっぷりを紹介しようと思います。
実は英語版の「Maiden」率は尋常ではなく、日本語で言う「メイデン・オブ〜(Maiden of ~)」はもちろん、「乙女」「巫女」「戦巫女(Battle Maiden)(なにこれめっちゃカッコイイ)」「魔黒天女(Black Celestial Maiden)(だれ?)」と、日本語版の1.5倍くらいのカードプールを持ちます。
とはいえ、「戦巫女(Battle Maiden)」など明らかに別クランのユニット名だし、どうせ「Witch」と同じでエクストリームファイトくらいでしか役に立たない知識だろう? 笑いのネタとして覚えておくレベル、とお思いの方もいることでしょう。
ところが、今回はそういった英語版のガバガバ名称っぷりを笑いに持っていけるレベルでは残念ながらございません。
どれくらいネタに出来ないかというと、場合によってはヴァンガードの世界大会開催を自重しなければならない可能性も考えられる、そういうレベルです。(流石に大袈裟だよ!)
世界大会はおろかCS等とも縁のない一個人ブログの戯言ですが、もしこういった与太話に興味のある方は追記よりどうぞ。
※注意:この記事は日本語版及び英語版ファイターズコレクション2015Winter発売前に書かれたものであり、また当記事内で書かれていることはすべて筆者の憶測です。
確信を持たぬまま、商品、個人、企業、団体などを誹謗中傷することは絶対に行わないようお願い致します。
ゲームはフェアでなければ成り立たない
そもそもヴァンガードはTCGという対人戦ゲームに分類されます。
TCGのみならず、スポーツなどの対人戦競技に置いて、何よりも重要なのはルール及び用語などを整備把握し、フェアな環境を作ることです。これによって対戦者同士の言語が通じずとも、ルールや用語通りの処理や進行裁定を行うことで、競技に支障を懐ことなくゲームを展開することができます。
もしこのルールや用語が通じなかったり、互いに理解内容が食い違ってしまえば、例え言語を理解できていたとしてもゲームを進めることはできないでしょう。何しろ食い違ったルールや用語によって、プレイヤースキルなどに関係なく一方が不利を背負わされることになるからです。
もちろん、そのような環境はとてもフェアとは呼べず、ゲームとしての機能を失い参加者も減少することでしょうし、そうやって曖昧なルール環境を整備しない主催者の責任を問われる可能性も十分考えられます。ルール等をきちんと整備し、参加者にとってフェアな環境を形成することが、主催者に課せられた義務であり、それを全うして信頼を得ることで、大会を通じてコンテンツを発展させていくのです。
メイデン事変?
しかし今回、残念ながらその主催者としての義務に支障をきたす恐れが出てきました。それが今日のカードで紹介された《メイデン・オブ・ウォーターポット》によって判明した「メイデン」の名称カテゴリー化です。
ノーマルユニット G1
ネオネクタール ドリアード パワー7000 シールド5000 ☆1
自【R】:[このユニットをソウルに置く,ドロップゾーンからノーマルユニットを1枚選び、山札の上に置く] 他のあなたの「メイデン」を含むユニットが山札からRに登場した時、あなたの「メイデン」を含むヴァンガードがいるなら、コストを払ってよい。払ったら、山札をシャッフルし、1枚引き、CC(1)。
テキスト自体は至って普通です。
ポイントとしては2つの解決条件に「メイデン」を指定しており、またFC2015Winterの流れとして後々判明するGユニットもカード名に「メイデン」を含むハーツを参照してくる可能性が高いため、現段階ではデッキに採用する多くのカードを「メイデン」で固める必要が懸念されます。戦略のカギを握るグレード3も「メイデン」で統一する必要性もあるため、既存のデッキを簡単に強化させるカードではありません。
ただし、それはあくまで日本語版での話だとしたら、どうします?(!?)
アンフェア・ネオネクタール
日本語版での話とは言いましたが、では実際のところ英語版では何が問題なのか。
それは、日本語版での「乙女」が英語訳で「Maiden」となっていることで、もしもFC2015Winterがそのまま英語版として発売された場合、言語違いによって、プレイヤースキルではなくルール側がカードバランスを狂わせる事態を引き起こしてしまう可能性があるからです。
察しの良い方は既にお気づきでしょう。
そう、ネオネクタールにもカード名に「乙女」を含むユニットは多数存在します。
個別名称を既に持つ《ラナンキュラスの花乙女 アーシャ/Ranunculus Flower Maiden, Ahsha》を筆頭に、G2,1バニラユニットの《開花の乙女 ケラ/Blossoming Maiden, Cela》、《萌芽の乙女 ディラン/Budding Maiden, Diane》。
他にもアーシャサポートの《花房の乙女 サリアンナ/Flower Chamber Maiden, Salianna》、《早咲の乙女 ピア/Early-flowering Maiden, Pia》、《花園の乙女 マイリス/Flower Garden Maiden, Mylis》とそろい踏みで「Maiden」に属しています。
シシルス互換ユニットである《開墾の戦乙女 パドミニ》は頭に「戦」が付いたおかげで「Valkyrie」と訳されており「Maiden」名称入りとはなりませんでしたが、もしシシルス互換ですら名称カテゴリに属するようなことになれば、それこそゲームバランス崩壊にトドメをさしていたことでしょう。
以上のように、英語版だと同一クラン内でも適用範囲がぐぐぐ〜っと広くなり、日本語版と比べて強化の幅が大きくなっています。と言うよりも、実質アーシャ軸の強化に等しいレベルです。何よりウォーターポットの時点で能力が噛み合ってますからね。
同じゲームのはずなのに、言語が違うだけでここまで振れ幅が大きい例は前代未聞ではないでしょうか。
アンフェアルールでゲームが成り立つわけない
ヴァンガードは世界レベルの大会を開催した実績があります。今年1月にも世界大会が開催され、見事日本人の方が世界一という栄冠を手に入れました。
その頃から「魔女」と「Witch」のガバガバ名称の問題はありましたが、ルール上クランファイトでは構築不可能なデッキタイプであり、世界大会もクランファイトというルールで行われたこともあって、世界大会によってルールが破綻している問題が公式の場で浮き彫りになることはありませんでした。
しかし、今回はそのクランファイトという制限すらすり抜けてしまい、都合が良いはずのクランファイトでも言語の違いによってカードバランスが異なりルールが破綻するという運営の根本を覆す事態に発展してしまう恐れがあるのです。(※注:あくまでこのまま英語版FC2015winterが発売されればの話です)
国や地域によってプレイヤーレベルに差が出ることはTCGだけでなくスポーツなどでも良くあることですが、いずれにしてもルールは共通です。だからこそ言葉が通じずともフェアなゲームが可能なわけなのですが、今回の場合は両者間でルールの食い違いが発生してしまう最悪のケースです。
もし仮に、あなたが英語版を所有している方とファイトをする機会があったとします。
日本人で日本語版をプレイしているあなたは、《メイデン・オブ・ウォーターポット》の能力はヴァンガードがカード名に「メイデン」を含むユニットでないと能力を解決できないことを知っています。
ですが、英語版の相手は《ラナンキュラスの花乙女 アーシャ》がヴァンガードの状態でも何の迷いもなく《メイデン・オブ・ウォーターポット》の能力を解決しようとします。
この瞬間、両者間で矛盾が発生し、あなたは「テキストと違う挙動をするな」と相手に指摘しますが、相手は「自分は間違ってないし、テキスト通りだ」と当然反論します。両者はどちらも正しいことを言っているため譲る気は全くなく、結果ゲーム進行は不可能という結果になります。
もしこれが世界大会の場で起こったらどうなるでしょうか? プレイヤー間の摩擦はもちろん、ルール整備をきちんとしていない主催者の信用は地に落ちること間違いなしです。
「Maiden」がそういった上位規模の環境レベルに到達するといった可能性の話とは関係なく、そういった事態に陥らないためにも、直前にエラッタ等を出してルール整備を出すべきですが、一方の言語が制限されたのにもう一方の言語は御咎めなしではやはりフェアとは言えません。
このことから、この問題は英語版FC2015Winter発売前に解決されていなければならない案件と言えます。
追記(12/1):世界大会についての誤認をコメントにて補足して頂きました。この場を借りてコメントを頂いた方に感謝申し上げます。また、筆者の勉強不足であったこともこの場にて謝らせていただきます。申し訳ありませんでした。
>世界大会は日本語版の世界大会と、英語版の世界大会で明確に分かれています。
>そのため、日本語版のカードと英語版のカードで、公式大会の場において対戦し、成績を決める、ということは現時点ではありません。
なので、英語圏のプレイヤーでも日本語版の世界大会に出場する場合は日本語版のカードを使用し、逆もしかりということです。
ただし、英語版の知識そのままに日本語版をプレイすることで同タイトル内でルールの食い違いが発生する可能性は変わりません。
解決策は?
日本語版と共通の解決方法を英語版でも実現するためにはどうするか。
答えは簡単で、英語版ウォーターポットの名称指定を「Maiden」ではなく、「Maiden of」にすることです。こうすることで、日本語版のと同じく名称先を「メイデン(Maiden of)」で固定することができ、「乙女(Maiden)」や「戦巫女(Battle Maiden)」を巻き込むことなく日本語版と同じ挙動を取らせることができます。
ただし、今度は「スチームメイデン」との名称関係が無くなってしまうという新たな問題に直面してしまいますが、世界大会の規模をクランファイトに統一させていればそちらのルールが破綻することは避けられるので、苦肉の策ですがエクストリームファイトでの「Maiden」構築は諦めるしかなさそうです。
後は英語版の査定次第
後は英語版開発部がこの事態を察知して、FC2015Winter収録の際に「Maiden」指定を変更すれば、一部犠牲は出すものの、とりあえず主催者としてのメンツは最低限保つことができます。
もし、これで英語版ウォーターポットの名称指定が「Maiden」のままであり、特にエラッタも出さないまま世界大会が開催されるようなことになってしまうと・・・
「何が始まるんです?」
大惨事大戦だ!
デデーン!
タイトル通り、「メイデン」はブシロードの面子を保てるか否かの時限爆弾を抱えていることになってしまいました。英語版がきちんと本来の動きになる査定でリリースされれば爆弾は解除されますが、そうならなかった場合は、爆発のカウントダウンは近いと考えてよいでしょう。
「ていうか深く考えすぎなんだよ!」
「それな!」
終わりに
以上です。もしかしたら既にクランファイト内でも言語別でカードパワーに差が生じているカードが存在しているのかもしれませんが、今回ばかりは流石にヤバイと思ったので、記事にしてみました。
まぁ実際のところ、そういう細かいところまで気にする方は早々いないと思いますし、世界大会で「Maiden」が出てこない限りは話題にも上がることは無く、そのまま闇に葬られるか、英語版環境でだけアーシャが暴れまわっているというニュースが伝わってくる程度になるんでしょうね。
まぁ、ヴァンガードの抱えた小さくも巨大でもある1つの闇、そんな感じに捉えて話のネタにしていただければ幸いです。そして最後は相手からこう言われて終わるんです。
「お前wwww気にしすぎだろwwww」
「だよなwwww」
チッチッチッチッチッ・・・
相変わらずの長文&拙文ですが、ここまで読んで頂きありがとうございました。
もし何かありましたら、コメントなどを残して頂ければ幸いです。
ではでは。